【農業×IoT】畑の異常を電話でお知らせする、簡単・低価格な農業IoT「てるちゃん」リリース

2021.03.09

2021年3月9日(火)、株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:山崎雅人)は、センサーが圃場(畑)の温度・湿度・照度の異常を検知して農業生産者へ電話・メール・SMSで通知する、農業IoT「てるちゃん」(URL:https://www.tel-chan.com/)をリリースします。
2018年より沖縄県糸満市にある複数の生産者と実証実験を行った結果、作業効率向上の効果を確認できたたため、今回のリリースに至りました。

 

ファイルイメージ

てるちゃんは、センサーで圃場(畑)の温度・湿度・照度の異常を検知し、生産者へ電話・メール・SMSで通知することで、生産者の作業負担軽減や作業の効率化を図るために開発した農業IoTです。「育苗や新芽時期の温度管理」「カビや病気を防ぐための湿度管理」「栽培設備の動作確認」など、農作業における幅広い場面でご活用いただくことを想定しています。高価なIoT機器を導入するのが難しい小規模農家にも気軽にお使いいただけるように低価格で、ICTに不慣れな方にも使いやすいシンプルな設計です。

露地栽培やビニールハウス内など、電波※1 が届く範囲であればどこにでも設置でき、温度・湿度・照度の管理を必要とする、どんな種類の作物の栽培にもご活用いただけます。また、監視したい時間帯や、センサーの測定値を利用者(生産者)自身で設定することが可能です。利用者が使い慣れた自分の好みの通知手段(電話・メール・SMS)を選択することができ、複数の通知手段を選ぶことも可能です。通知するタイミング(検知後すぐ/指定時刻)を選択できるので、深夜の状況を監視して、起床時に通知を受けて確認することも可能です。さらに、利用者が気になるタイミングでてるちゃんに電話をかけるか、スマートフォンやPCなどのブラウザ画面上で閲覧することで、最新の温度・湿度・照度の測定値を知ることもできます。
※1:ルーターとサーバー間の通信にはドコモ回線を使用しています

また、IoT機器に不慣れな方でも簡単にご利用いただけるように、設置から利用開始までの手順を簡素化しています。スマートフォンやPCなどのブラウザ画面から新規登録と機器購入手続き後、お手元に届いた小型のセンサーを監視したい場所に設置し、ルーターを電源に繋げば設置作業は完了です。あとは、通知に必要な条件をスマートフォンやPCなどのブラウザ画面から設定します。


農業IoTとしては低価格で、最小構成(ルーター1台・センサー1つ)なら機器費用は24,750円、システム利用料は月990円で利用を開始できます。使った分だけかかる費用として、監視料金は1回あたり2円から、通知料金はメール利用なら0円から、確認料金はブラウザ画面からなら0円から利用することが可能です。(全て税込)
※別途、インターネットのプロバイダー契約または携帯電話のパケット通信の契約が必要です

ルーターとセンサーの間の最大設置距離は約200m(見通し距離)、ルーター1台につきセンサーを8つまで接続することが可能ですので、隣接する圃場であれば機器費用を抑えてご利用いただくことができます。また、農閑期など、てるちゃんが不要な時はご利用を月単位で一時停止することができるので、余計な出費を抑えることができます。大規模農家だけでなく、小規模農家など、あまり設備費用をかけられない農家にもお気軽にご利用いただけます。
※一時停止中は、アカウント維持費として、ルーター1台につき1ヶ月あたり330円かかります。

現在の「てるちゃん」は、農業向けに最適化した形で提供していますが、温度・湿度・照度の管理が必要な様々なジャンルでもご利用いただくことが可能です。例えば、畜産施設の温湿度管理による家畜飼育環境の改善、食品や農産物倉庫の温湿度管理による品質の保全、オフィスや工場などの温湿度管理による労働環境の保全などにも応用することが可能です。
将来的には、センサーの種類を増やすことで、他の農作物や圃場環境にも対応していく予定です。

◆実証実験の結果と成果

地方創生プロジェクト「Cloud ON OKINAWA(クラウド オン オキナワ)※2」の取り組みの一環として、2018年8月から沖縄県糸満市の小菊農家とマンゴー農家で、実証実験を行った結果、作業効率化の効果が認められました。

▷小菊農家
 電照切れを自動的にSMS通知する仕組みにより、夜中の電照確認のための巡回が完全不要に

小菊は、日照時間が短くなると花芽をつける性質があるため、夜間の電照により花芽がつく時期を遅らせることで、茎を長く成長させたり、出荷時期を制御したりしています。ブレーカー落ちなどによって電照が途切れる期間が3日間程続くと花芽がつき、茎の長さが出荷基準に満たず商品価値がなくなり、大きな損失に繋がります。このような状況を防ぐため、生産者は少なくとも2~3日に1回の頻度で、電照が始まる深夜に圃場を見回る必要があり、睡眠時間を削るなど体力的に大きな負担となっていました。そこで、電照切れを自動的にセンサーで検知してSMS通知する仕組みを導入しました。実施期間は、2018年11月〜2019年3月でした。電照が始まる午後11時から少し後の午後11時半からセンサーにより監視を開始、電照が終わる午前3時の少し前の午前2時半まで、一定時間間隔で監視を継続します。午後11時半から午前2時半までの監視時間帯にセンサーで検知した電照異常は、毎朝7時にSMSで農家の携帯電話へ通知しました。この仕組みにより、実証実験先の農家では、電照確認のために月間6〜7時間かけていた深夜の見回りが完全不要になりました。



▷マンゴー農家
 温度の異常を自動的に電話通知する仕組みにより、温度確認に要する移動時間を45%削減

マンゴー農家では、「花芽が萎れない為の温度管理が必要な時期」「受粉用ミツバチの活発な活動の為に温度管理が必要な時期」「炭疽病防止の為に湿度管理が必要な時期」「果実の高温障害防止の為に温度管理が必要な時期」など、各成長過程においてビニールハウス内の温度や湿度に特に気をつかいます。このため、忙しい時期でも温度が気になれば都度作業を中断し、ビニールハウスの定点に設置した温度計まで移動して温度を確認するという、直接的な生産活動にはつながらない移動時間がかかっていました。
そこで、センサーが温度の異常を検知するとすぐに、自動的に携帯電話へ音声で通知する仕組みを導入しました。実施期間は2019年、糸満市でのマンゴー栽培で温度管理が重要な時期、2月〜7月でした。監視時間帯は、午前8時から午後5時までの、日照によりビニールハウス内の気温が上がる時間帯に設定しました。この仕組みにより、温度確認に要していた移動時間を45%削減することができました。



※2:地方創生プロジェクト「Cloud ON OKINAWA」とは
沖縄県の市町村とIT企業が連携協定を結び、ITサービスを活用して地方創生を推進するプロジェクト。現在の参画市町は、石垣市、糸満市、沖縄市、竹富町、宮古島市の5市町。
参画企業は、KDDIウェブコミュニケーションズ、沖縄セルラー電話、CAMPFIRE、Square、freee、BASE、ライフイズテック、ラクスル、Ryukyufrogsの9社です。
https://www.cloudon.okinawa/

てるちゃんご利用開始のお申し込み

以下ウェブサイトのお問い合わせからお申し込みください


URL:https://www.tel-chan.com/

※お申し込みいただいた方から、順次ご案内していくため、お申し込みから導入までお時間をいただく場合があります。予めご了承ください。

◆導入までの手順

ご利用申し込み後、利用者情報を登録。専用機器(センサー・ルーター)を購入します。
購入手続きから2週間前後で機器が届くので、センサーを圃場へ設置して、ルーターを電源に繋げば設置作業は完了です。
センサーとルーターは無線で自動的に繋がり、スマホやPCなどでセンサー情報画面を確認すると、てるちゃんのセンサー情報が画面に自動的に表示されます。監視条件(監視時間帯、監視するセンサー値、通知手段、対象センサーなど)を設定すると、条件に合致したときに希望するタイミングで通知されます。


▲左から「購入画面」「センサー情報画面」「設定画面」

◆費用

機器料金 ルーター 19,800円/台
センサー 4,950円/台
システム利用料 ルーター 880円/台・月
(一時停止中は、アカウント維持費として、ルーター1台につき1ヶ月あたり330円かかります)
センサー 110円/台・月
監視料金 1回あたり2円/台~(データを1回送る度に2円)
通知料金 メール 無料
SMS 20円/通
電話 22円/回・分
確認料金 ブラウザ画面から 無料
電話から 3円/分

※ 全て税込価格
※ 別途、インターネットのプロバイダー契約または携帯電話のパケット通信の契約が必要です。

◆機器

ルーター 通信規格 LTE / Bluetooth 5.0 LongRange
子機との通信距離の目安 見通し約200m※3
接続できる子機数 8台
電源 MicroUSB(DC5V)アダプター同梱
防水性能 IPxx(防塵なし、防水なし)
外寸 φ 83 mm x 26.3 mm
重量 88 g
センサー 搭載センサー 温度、湿度、照度
通信規格 Bluetooth 5.0 LongRange
電源 ボタン電池1個 (CR2450) 同梱
動作期間 12ヶ月以上 (監視間隔60分の場合)
防水性能 IPx5 (防塵なし、噴流から保護)
外寸 69 mm ×45 mm×13 mm
重量 30g (ボタン電池込)

※3:周囲の電波環境や構造物等の環境によって変わります

◆プレスキット

こちらからダウンロードできます

KDDIウェブコミュニケーションズについて

1997年より、レンタルサーバー事業「CPI」創業。20年以上続く老舗ブランドとして知られる。2009年には、専門知識がなくても簡単にホームページを作成できるドイツのホームページ作成サービス「ジンドゥー」と日本での独占契約を締結し、JimdoJapanとしてサービス提供をしている。その他にも、クラウド電話APIサービス「Twilio」、ブログサービス「g.o.a.t」を展開している。
https://www.kddi-webcommunications.co.jp/

プレスリリースに関するお問い合わせ先

株式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズ
〒107-0062 東京都港区南青山2-26-1 D-LIFEPLACE南青山 10階
広報担当 川上、前田
Tel : 03-6371-1919 Mobile : 070-2191-5682 e-mail : pr@kddi-web.com